心のなかに、日に日に虚無がひろがっていく。それは宇宙の膨張と比例している。悲しいわけではない。死にたいわけでもない。人生の無意味さと孤独が、じんわり身体じゅうに染みわたる。それ自体は、喜ばしいことだ。
ここにあるすべてのものは、ある「なにか」の、ある「あらわれ」にすぎない。上下左右、まえうしろ、過去や未来といった方向性は、あくまでも便宜的な存在だ。すべてのものは、ある「なにか」の響きあいのなかを、無目的に浮遊しつづけている。そしてそれは、極めて中立的な事象である。
死にたいわけではないが、つぎの瞬間に消えてしまってもかまわないとは思う。ただ、そう思う自分は必然的に、取り残されつづけているほうの自分だ。