SWITH.NET/// February 26, 2013
 たのしいくらし

杉浦日向子



 ごぶさたしています。お元気ですか。筆不精ですみません。元気でやってます。
 自転車買いました。二十六インチ変速機なし、アルミの軽いやつです。晴れた日には、これでどこまでも行きます。初めの二、三十分は、そうでもないのですが、一時間先漕ぎ続けていると、とてもいい気持ちになって来ます。ジョギングやマラソンをする人に、ランナーズ・ハイという快感があるそうですが、そんなのに似てる気がします。自転車は愉快です。ペダルに乗せた足を上下させているだけで、ぐんぐん前へ進みます。この単純労働は、呪文のようです。えいえい漕いでいると、額の汗が、風でスースー消えるのと一緒に、いろいろなことを忘れて行きます。ハッカ糖を食べた後に、水を飲んだみたいな気持ちになれます。
 毎日が、穏やかに過ぎて行きます。朝起きて、食事して、トイレして、自転車漕いで、風呂入って、少し酒飲んで、眠ります。無事これ名馬の伝にならえば、何事もない日々こそが最良の人生なのかもしれません。惰眠の日々を、思う存分にむさぼっています。生きてここにあることを忘れてしまいそうなほど、しあわせです。
 近況知らせて下さい。声を聞かせて下さい。では、今日はこの辺でさようなら。